クリストファーノーラン監督「TENET」の逆行する世界が注目を集めましたね。
複雑すぎて理解不能。007好きすぎ。など、語り口は人それぞれ。これぞヒット作。しかし、どの記事を見ても、監督のトリックを紐解くことに躍起になっており、僕が語りたい切り口で語ってくれないので語っていきます。
結局、誰もが主人公だった
劇中で何度も出てきたキーメッセージに注目しましょう。
- tenet(日本語訳:信念・主義)
- 世界の見方を変える
登場人物はみな、自らの主義を持っているか、確立させていきます。
- プリヤ独自の主義=世界の見方を持っており、フィックサーとして自身を主役と捉えている。
- 名もなき主人公は、プリヤの主義を学ぶも、最後は自分が大事にしたい主義に従い計画を立て、プリヤに逆転する。
- ニールは、名もなき主人公とは逆行して見れば主人公と捉えられる
- キャットは、旦那に脅される囚われの妻だったのが、タイミングを無視して自ら自由を掴む。
つまりTENETとは、主人公ではなかった人物が、主人公になるストーリーだったのです。
「信念は未来にある」
自分自身の世界の見方。それが信念。 映画では、信念を未来に実現するために過去を逆行していきます。 現実には、逆行できないので、逆算して今を行動する必要があります。
逆算して今を過ごすのは、信念を実現するためには当然だけど難しい。 そこでヒントをくれてます。
「無知こそが武器である」
クリストファーノーラン監督はスマホを持っていないそうです。(いわゆるガラケーで電話は可能らしい) 多忙だし常に周囲に人がいるから困ることはなく、何よりもオンラインに囚われず考える時間を得られるのが気に入っているそうです。 クリストファー・ノーラン監督“スマホ持たない”理由
僕らはSNSの普及によって、知らなくて良い情報でさえ目に入ってしまいます。 そして自分より優秀な人を見つけてモチベーションが下がってしまう。
TENETでは無知であることが重視されてきました。 作戦を未来に残さず、逆行という信念のための行動を成功させるために。 自らの信念を実現させるには、無知である必要があるというヒントだったのではないでしょうか。
つまり、TENETが語る「世界の見方を変える(と主人公が変わる)」とは、見ている僕らに呼びかけたメッセージだったのではないでしょうか。 信念を未来に見つけ、実現するために脇目を振らず無知で突き進めと。